ラット尿管の移行上皮の微細構造は、電子顕微鏡による薄切片で研究されており、ヌクレオシド三リン酸分解酵素活性を示す細胞化学的染色を行ったものもある。 上皮の深さは3〜4細胞で、立方体または柱状の基底細胞、中間細胞、表層扁平細胞からなる。 基底細胞は、その基底膜上の半分のデスモソーム(付着板)によって、上皮と固有層を隔てる基底膜に付着している。 この上皮の基底膜のすぐ下の結合組織層には、直径約100Åの微細な細胞外繊維が見られる。 基底細胞と中間細胞の細胞膜、扁平上皮細胞の側方膜と基底膜は深く錯綜しており、ヌクレオシド三リン酸分解酵素の活性が関連している。 すべての細胞にはトノフィラメントの密なフェルトワークがあり、細胞質全体に広がっている。 扁平上皮細胞の側縁間には、zonula occludens、zonula adhaerens、macula adhaerensまたはdesmosomeからなる接合複合体が存在することが報告されている。 この複合体が、細胞外スペースから高張尿への水の自由な流れを妨げる主要な障害となっていることが示唆されている。 扁平上皮細胞の自由な内腔面と、これらの細胞内の多くの細胞質小胞は、異常に厚い細胞膜で囲まれている。 この単位膜の3つのリーフレットは非対称であり、外側のリーフレットは最も内側のリーフレットの約2倍の厚さである。 小胞と細胞膜は角張った構造をしており、このことは細胞膜が異常に硬いことを示唆している。 この膜にはヌクレオシド三リン酸分解酵素の活性は見られない。 この厚い細胞膜は、細胞を横切る水の流れに対する受動的な透過性の障壁の形態的な場所であり、ケラチンが膜構造に含まれているのではないかという提案を支持する論拠が示されている。 この厚い細胞膜のゴルジ複合体における起源の可能性についても議論されている。 厚い膜の特徴的な六角形のスタックを含む、不均一な内容物を持つ遺体が記述されている。 これらは古い、あるいは余剰の厚膜の「処理装置」であることが示唆されている。 また、全細胞の0.1〜0.5%しか形成していない、管状の繊維や結晶の束を含む細胞タイプについても記述されている。 その起源と機能は明らかになっていません。